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本、漫画、映画のレビューおよび批評。たまにイギリス生活の雑多な記録。
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Posted by - 2024.05.16,Thu
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Posted by まめやもり - mameyamori - 2008.11.07,Fri
最近毎日のように通っているウェブサイトです。



 19世紀末から20世紀前半にかけてのヨーロッパの「挿絵画の黄金期」に活躍した画家の作品を数多く集めているサイト。ワイルドの『サロメ』の挿絵で知られるオーブリー・ビアズリーや、ダンテ『神曲』やミルトン『失楽園』の挿絵を描いたギュスターヴ・ドレをはじめ、カイ・ニールセン、アーサー・ラッカム、エドムンド・デュラックといったギフトブックの挿絵画家たちの作品を、高画質でたくさん見ることができます。

 (ギフトブックとはその名の通り「贈り物の本」で、literary annualとも呼ばれ、イギリスでは秋からクリスマスのシーズンにかけてよく売り出されます。欧米のほかの国でもあるのかな? 手のこんだきれいな挿絵だとか、高画質の写真などがたくさん収められた「読む」というよりは「眺める」ための本。子供向けではなく一般向けのものも多いです)



 カイ・ニールセン、「太陽の東・月の西」より

 


 カイ・ニールセン、「12人の踊る姫君とその他の物語」より




 この黄金期の背景には、1880年代にヨーロッパで印刷技術のさらなる革新があって、イラストを高画質で大量に複製することが可能になったという技術史事情があるようです。それによって、精密な挿絵のついた本がたくさん出版されたんですね。

 考えてみればこの時期は、19世紀なかばからブームになった大陸ヨーロッパの象徴主義だとか(ギュスターヴ・モロー)、イギリスでのラファエロ前派(ウィリアム・モリスやエドワード・バーン・ジョーンズら)の影響で、近世以前の中世的・神話的なものへの関心が高まっているころですね。文学でもW.B.イェイツなんかの象徴主義がさかんですし、さらなる高まりを見せるナショナリズムとの絡みで、民話の発掘も各国でひきつづきさかんに行われているころです。それと上の技術史事情とがからまりあって、いろんな童話やおとぎ話が、オリエンタリズムやアールヌーヴォーの影響を色濃く受けた精巧な絵とともに、ヨーロッパで多くの人に紹介されていった、という感じなのかな。


 ちなみにギュスターヴ・モローはこんな感じの絵を描く人です。
 バーン・ジョーンズはこんな

 


 カイ・ニールセン、「太陽の東・月の西」より


 上のカイ・ニールセンはデンマーク生まれで、イギリスで活躍した挿絵画家らしいです。ビアズリーの影響を強く受けているんだとか。なんだか日本風になったり、インド風になったりと、傾向がいろんなところにいってる人みたいですが、とりあえず東洋趣味が強そうだなあという気がしますね。ちなみにビアズリーも日本の春画の影響を強く受けているんだそうです。
 下のアーサー・ラッカムは、もう少しヴィクトリアンでロマンチックな絵を描くようです。それでも色調の暗さと水彩画らしいおぼろげな感じが独特の渋さと味わいを出しているような気がします。




アーサー・ラッカム、「妖精の踊り」


 ちょっとファンタジックというか乙女チックで小恥ずかしいけど、綺麗は綺麗ですなー。

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