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本、漫画、映画のレビューおよび批評。たまにイギリス生活の雑多な記録。
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Posted by まめやもり - mameyamori - 2008.05.10,Sat
 BBCの歴史番組『Medieval Season』を最近よく見てます。
 なんだか数ヶ月の中世イングランド史特集をBBCが組んでるらしくて、中世の王様の食卓の料理レシピから農民一人の人生、権力の推移や性概念に至るまで、ずいぶん豊富で密度の濃い内容のドキュメンタリーが毎日のようにやってる。

 コチラ(ユーチューブ)はシリーズ全体の広告アニメ動画。中世のヘンテコ絵画を組み合わせたナンセンスっぷりがシュールで可愛い。あと、後ろの音楽はジミ・ヘンドリクスのパープルヘイズを中世楽器で演奏したやつらしいですよ。おもろい発想。

 その中世特集なんだけど、とくにオープン・ユニバーシティがセントアンドリューズ大の歴史教授Robert Bartlettと組んでプロデュースしてるInside the Medieval Mindというシリーズが非常に高品質ぽい。
 「知」「性」「信仰」「権力」の四回シリーズで、ネット上で「権力」を見ました。まあ、基本的には、野蛮で血みどろで、王がパチンと指を鳴らせば何万人もの人の首が飛ぶみたいな時代の話から、しだいに王の権力が制限され、マグナカルタでごくごく基本的な人権が保障され、商人が力をつけていき、そして民主主義の萌芽が……みたいな、すごく単線的な発展史観な見方なんだけどね。だけどその権力の推移を代表させるひとつひとつのエピソードにすごいドラマチックなのを持ってきてるのと(エピソードの結末が気になって番組を切れないくらいのハラハラ血みどろエピソード)、そのくせ本物の中世の絵画や美術、教会音楽を演出に用いることで陳腐さを払拭してるあたりのバランス感がうまい。あと、「あああ黒公子エドワードがここで出てくんのかあ!」とか「あああこうやって黒死病をもってきますか!」みたいな、「すごく有名な名前を意外な場所に持ってくる」技法。

 他局の歴史ドキュメンタリーだと、ドラマみたいにしてエピソードの「再現」をやってるのをよく見るんだけど、あれほんと陳腐になっちゃうんだよねえ。よっぽど演出がうまくて俳優が良くないと。

 今回のこの中世史特集に共通しているのは、「黒死病ののちに下層農民の地位向上の萌芽が起きた」みたいな歴史観みたいだ。黒死病でイングランド人口が半分になったってのも驚きながら、プロットの核は、それで労働力が激減したために結果的に王侯貴族に労働力を提供する農民の力が高まったってところみたいで、興味深い。どれだけイングランド史で共有された見方なのか知りませんが。

 気がついたのがつい最近で、かなりの部分を見逃してしまっているのが悔しい。どこかで「知」と「性」見られないかしら……。
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