本、漫画、映画のレビューおよび批評。たまにイギリス生活の雑多な記録。
Posted by まめやもり - mameyamori - 2009.07.24,Fri
いや実はですね、今をさかのぼること6年前、2003年に『MATRIX RELOADED』つまりマトリックス2は見てるんですね。どこで見たかっていうと、研究関係で初めてUKに渡航したときに、国際線の映画サービスで見たのだ。ああーなつかしいなあ……あのころは若かったなあ……ほんとに……右も左もわからなかったなあ……英語下手だったなあ……ほんとに……
というわけで、飛行機が離陸してから、どれどれと映画サービス情報見て、「あー、マトリックス見てなかったなあー、ここで見れるの2かー1見てないけどいいや。見てみよう見てみよう」という軽い感覚で見始めて、
そのおもしろくなさに顔面パンチされた
のだった。いやー「つまんねええええええ」と思ったのをすごくよく覚えています。……スリル展開に華がない、アクションの臨場感ゼロ、プロット展開は度を超えてご都合主義、ヒロインは見た目(ファッション)だけハードコアで良いけど弱っちくて見せ場が濡れ場しかない。NAN・DA・KO・RYAと思いました。
その後、友人に「マトリックスの1は面白いんだよ」と言われても、正直言って、半信半疑だったのです。でも近頃、その1が大学図書館のDVDコーナーにあるのを発見し、やっぱり2000年前後の映画界をマークした作品のひとつだよなあ、ということで、借りて見てみることにしたのです。
感想。
いや、なるほど、本当だ。これ1は良作だ。
面白かったです! 流行ったのも納得! 「え、え、何が起こってんの? どういうことなの?」みたいな感じで、観衆の関心とワクワク感をガッチリ掴み、説明的でなくスピード感を保ちつつ、かつ観衆を置いてゆかずに世界観を示してみせる序盤、迫力のあるハラハラな救出劇と追跡劇からクライマックスの危機とその回収。序盤からエンディングまでたるみのない展開で、大衆娯楽SFのプロットとしては、よっくできてるなあと感心しながら見ました。適度にグロテスクなマトリックス機械たちのビジュアル効果もよかったし、あーこれはサイバーパンクに興味ない人でも楽しく見られるだろうなあーと思った。
で、全体的な感触がいいと細部のマイナス点も許せてしまうようで、たとえばしつっこくしつこく挿入される「彼が『その人』なんだ……!」っていう台詞のわざとらしさとか、あとは王女様のキスでヒーローが蘇るラブロマンス展開(わらい)とかも「まあ娯楽物の伝統芸能だからねハッハッハ」みたいな感じで笑って流せる。マトリックス2の同じヒーローが瀕死のヒロインを救いに飛んでくるシーンでは超萎えまくったのになあ! 不思議なもんだ。
と、いうことで、「こんなに1が面白いんなら、もしかして以前は2を先に見てしまったから文脈がうまく掴めずに楽しめなかったのか。背景がわかっていれば、もしかして2も面白いのでは」と思い直し、近所のレンタルビデオ屋に行ってリローデッドを借りてきてみたわけだ。
ちなみにリローデッドって「リロー・デッド」だと(意味も分からず)ずうっと思い込んでたら、「リ・ローデッド」すなわち「再ロードされて」だったのね。カタカナ英語にするとわけがわからなくなるのう、、、
で、感想。
どれだけ1が面白かろうと、背景を知っていようと、駄作は駄作でした。どうしてこうなっちゃったんだろうねえ? アクションシーンもダラダラ長いだけで飽きるし、締まりがまったくないし、トリニティがあんなにダメなのは「一作目でヒロインがヒーローを救うシーンが多すぎたから今度はヒーローにもかっこいい役を」って感じだったのかねえ? キアヌ・リーヴズは2作目だってのに格闘アクションが絶望的にホープレス(希望皆無)。すると1作目ではなおさら上手かったはずがないのに、なんで前はそこまで気にならなかったんだろう……ほかの部分で観客の興味をひけるところがあったからかなあ。(謎とかスリルとか)
基本的には、最初見たときと評価は変わりませんでした。あの終わり方とか、「観客ばかにしてんのか」っていう全体の作りも同じ。ネオに「昔の恋のスリルを思い出させるために熱いキスをして」って迫る女のシーンのキモさとかも変わらず。
まあ、でも、ここまできたので、さらなる駄作と噂に高い3も見ることになると思います。ほんっっっっとに面白くないんだろうなあ……
それにしても、マトリックス世界を構成する情報コードが全部カタカナの裏返し文字だってことも含め、あとカンフーや中国風ファッションのあたりも含め、なんで「東アジア」なイメージをこれでもかと使ってるんだろうねっていう疑問はつっこんでいくと面白そうな感じがします。なんでアフリカなイメージじゃないのか、とか、なんでインド服じゃないのか、とか、なんでキリル文字やギリシア文字じゃなくて日本語のカタカナなのか、というね。
話によると監督のウォシャウスキー兄弟が「われわれが生きるこの世界の外に『真の世界』が存在する」という思想を映画に使った背景にはタオイズムの影響もあるとかいう噂で、そのへんが彼らが「東アジア的」なイメージを使った理由を説明してはいる。でもサイバーパンクというジャンルと東アジア(「オリエンタル」「非西洋」全般だけでなく、とくに日本あるいは中国)との強い結びつきは、たとえばウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」シリーズとかから見られる気がするんよね。
でも私ギブスンそこまでちゃんと読んでないし、何よりSF論を展開するには私はSFを知らなすぎるので、このへんの考察はもうちょっと色んな作品を見たり読んだりするまでは、できんなあ……
というわけで、飛行機が離陸してから、どれどれと映画サービス情報見て、「あー、マトリックス見てなかったなあー、ここで見れるの2かー1見てないけどいいや。見てみよう見てみよう」という軽い感覚で見始めて、
そのおもしろくなさに顔面パンチされた
のだった。いやー「つまんねええええええ」と思ったのをすごくよく覚えています。……スリル展開に華がない、アクションの臨場感ゼロ、プロット展開は度を超えてご都合主義、ヒロインは見た目(ファッション)だけハードコアで良いけど弱っちくて見せ場が濡れ場しかない。NAN・DA・KO・RYAと思いました。
その後、友人に「マトリックスの1は面白いんだよ」と言われても、正直言って、半信半疑だったのです。でも近頃、その1が大学図書館のDVDコーナーにあるのを発見し、やっぱり2000年前後の映画界をマークした作品のひとつだよなあ、ということで、借りて見てみることにしたのです。
感想。
いや、なるほど、本当だ。これ1は良作だ。
面白かったです! 流行ったのも納得! 「え、え、何が起こってんの? どういうことなの?」みたいな感じで、観衆の関心とワクワク感をガッチリ掴み、説明的でなくスピード感を保ちつつ、かつ観衆を置いてゆかずに世界観を示してみせる序盤、迫力のあるハラハラな救出劇と追跡劇からクライマックスの危機とその回収。序盤からエンディングまでたるみのない展開で、大衆娯楽SFのプロットとしては、よっくできてるなあと感心しながら見ました。適度にグロテスクなマトリックス機械たちのビジュアル効果もよかったし、あーこれはサイバーパンクに興味ない人でも楽しく見られるだろうなあーと思った。
で、全体的な感触がいいと細部のマイナス点も許せてしまうようで、たとえばしつっこくしつこく挿入される「彼が『その人』なんだ……!」っていう台詞のわざとらしさとか、あとは王女様のキスでヒーローが蘇るラブロマンス展開(わらい)とかも「まあ娯楽物の伝統芸能だからねハッハッハ」みたいな感じで笑って流せる。マトリックス2の同じヒーローが瀕死のヒロインを救いに飛んでくるシーンでは超萎えまくったのになあ! 不思議なもんだ。
と、いうことで、「こんなに1が面白いんなら、もしかして以前は2を先に見てしまったから文脈がうまく掴めずに楽しめなかったのか。背景がわかっていれば、もしかして2も面白いのでは」と思い直し、近所のレンタルビデオ屋に行ってリローデッドを借りてきてみたわけだ。
ちなみにリローデッドって「リロー・デッド」だと(意味も分からず)ずうっと思い込んでたら、「リ・ローデッド」すなわち「再ロードされて」だったのね。カタカナ英語にするとわけがわからなくなるのう、、、
で、感想。
駄作に変わりなし
どれだけ1が面白かろうと、背景を知っていようと、駄作は駄作でした。どうしてこうなっちゃったんだろうねえ? アクションシーンもダラダラ長いだけで飽きるし、締まりがまったくないし、トリニティがあんなにダメなのは「一作目でヒロインがヒーローを救うシーンが多すぎたから今度はヒーローにもかっこいい役を」って感じだったのかねえ? キアヌ・リーヴズは2作目だってのに格闘アクションが絶望的にホープレス(希望皆無)。すると1作目ではなおさら上手かったはずがないのに、なんで前はそこまで気にならなかったんだろう……ほかの部分で観客の興味をひけるところがあったからかなあ。(謎とかスリルとか)
基本的には、最初見たときと評価は変わりませんでした。あの終わり方とか、「観客ばかにしてんのか」っていう全体の作りも同じ。ネオに「昔の恋のスリルを思い出させるために熱いキスをして」って迫る女のシーンのキモさとかも変わらず。
まあ、でも、ここまできたので、さらなる駄作と噂に高い3も見ることになると思います。ほんっっっっとに面白くないんだろうなあ……
それにしても、マトリックス世界を構成する情報コードが全部カタカナの裏返し文字だってことも含め、あとカンフーや中国風ファッションのあたりも含め、なんで「東アジア」なイメージをこれでもかと使ってるんだろうねっていう疑問はつっこんでいくと面白そうな感じがします。なんでアフリカなイメージじゃないのか、とか、なんでインド服じゃないのか、とか、なんでキリル文字やギリシア文字じゃなくて日本語のカタカナなのか、というね。
話によると監督のウォシャウスキー兄弟が「われわれが生きるこの世界の外に『真の世界』が存在する」という思想を映画に使った背景にはタオイズムの影響もあるとかいう噂で、そのへんが彼らが「東アジア的」なイメージを使った理由を説明してはいる。でもサイバーパンクというジャンルと東アジア(「オリエンタル」「非西洋」全般だけでなく、とくに日本あるいは中国)との強い結びつきは、たとえばウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」シリーズとかから見られる気がするんよね。
でも私ギブスンそこまでちゃんと読んでないし、何よりSF論を展開するには私はSFを知らなすぎるので、このへんの考察はもうちょっと色んな作品を見たり読んだりするまでは、できんなあ……
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時折超つたない英語を喋りますが修行中なのでどうかお許しください。
A tiny lazy gecko (=yamori) always mumbling something
Please excuse my poor English -- I am still under training
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