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本、漫画、映画のレビューおよび批評。たまにイギリス生活の雑多な記録。
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Posted by まめやもり - mameyamori - 2009.07.27,Mon



諸星大二郎の「栞と紙魚子」シリーズは、たぶん全部読んでいると思うんだけど、今回のが一番面白かったかもしれないなあ。





何冊か作品集を読んでみた限り、諸星さんの作品にはいくつかの典型的な「潮流」がある。古代神話再解釈系、まだ見ぬユートピア・デストピアを語るSF寓話系、そして滑稽なナンセンスギャグ系だ。「栞と紙魚子」シリーズは、この第三のギャグ系の筆頭で、妖怪・幽霊・クトゥルー神話など題材は怪奇恐怖系なんだけど、話や絵柄はようわからんコメディ。

諸星さんのギャグはどことなく枯れて寒ぅぅぅぅぅい感じがあって、その寒さが「よくわからんけどほほえましい」と出るか、「単にスベってる」と出るかは、かなり人によるようだ。この「栞と紙魚子」シリーズも、わたしは嫌いじゃないんだけど、「つまらん」と一刀両断する人もいる。

内容は、日本のどこかに存在する「井(い)の頭(あたま)町」という小さな町を舞台に、二人の女子高生が奇妙奇天烈な町人たちと交流しつつ、怪事件を解決してゆくお話。主人公の一人、栞(しおり)はちょっとかわいい普通の女子高生と見えつつ飼い猫が化け猫だったり、メガネの相方・紙魚子(しみこ)は妖怪本(妖怪についての本ではなく本そのものが妖怪)を山ほど抱えた古書店の娘だったりする。さらには町民の小説家・檀先生の奥さんはクトゥルー神話の神のひとり(クトゥルー神話において、「神」とはその存在を感知しただけで人間が発狂するほど常規を逸した存在であるため、ふたりがどのように日常生活を送っているかは定かでない)。町の神社・股毛神社の神主さんは明らかに人間とは思えぬ形状をしていたりする。まあ、要はこうした変な登場人物が色々ゴチャゴチャくりひろげるドタバタ喜劇である。

今回も高慢なセクシー美女「弁天様」が初登場したり、栞と紙魚子の新しいクラスメートにして、日本の憑き物として名高い管狐(クダギツネ)使いの軟派少年が栞にちょっかいを出して騒ぎになるなど、基本ラインはいつもと一緒。それでもこれまでの単行本より若干おもしろく感じられたのは、話の展開がいつもより練られていたからかな? 前回の怪物対決なんかは、ちょっとダレダレな印象があったからなあ。個人的には弁天様のキャラ嫌いでないです。



しかしこの「栞と紙魚子」シリーズ、実写ドラマ化されていたんだね……


「ムルムル製氷皿」がDVDボックスの特典か……


はあ……


面白くなさそうだなあ……





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