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本、漫画、映画のレビューおよび批評。たまにイギリス生活の雑多な記録。
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Posted by まめやもり - mameyamori - 2007.04.11,Wed
長いよ。エントリタイトル。

それはともかく、





 すごい。確かにすごい。んだけど、どこか欲求不満。読後感としては、五十嵐さん、あなたはもっといける。もっと突き抜けられるよ!という感じ。

 この人はとにかく画力がすさまじいと言われるみたいなのだけど、私見で言えば、漫画家を卓越した漫画家にするプラスアルファみたいなものを、画力と密接に結びついた形で持っているんだと思う。うまく説明できないのだが、えーと文章にたとえれば、どれだけ文法と慣用句に詳しくても、どれだけ広い語彙をもっていても、それだけでは人を圧倒する文というのは書けないですよね・・・、見聞き感じ取ったものを、言語という媒体の可能性に挑戦しながら翻訳する才能が必要だと思うんだけど、それに似たような才能を五十嵐大介は持っているんじゃないかと思う。ひとの認識が現実と幻想の境目を突破するその瞬間、その境目みたいなものを、漫画という条件をフルに活用しながら二次元のなかに創作する、その手法が凄いんだと思う。

 だから、このひとの呪術、魔法、奇妙な生きもの、精霊などの描きかたは天才的だ。そういった不可思議な力や者どもは、まさに人間の具体的で感覚的な経験と想像力のはざまで息づく何かであるからだろう。

 その描写法の卓越性が端的にあらわれていると思うのが、第二話「KUARUPU」。アマゾン流域とおぼしき場所で、先住民の呪術師クマリが恋人の復讐のため、森に侵入する軍の兵士たちを殺していく・・・という話なのだが、とくに注目すべきが137〜142ページ。兵士とサルに喰われるバッタの「感覚」が交錯し、兵士がトチ狂って自滅していく描写。呪術の効果をドラッグ風に描くこの手法はたぶん、カルロス・カスタネダか何かを元ネタにしているのだと思うけれど(いや自信ないけど)、そうか、漫画だとこういうふうに描くことができるんだ・・・。「視えた」先の異界の迫力も圧巻です。

 そういうわけでかなり才能のある人だと思うんだけど、冒頭にも書いたように物足りなさを感じるのは何故かというと、たぶんストーリー。いや、ストーリーもそれなりに面白いし、陳腐ではないのだけれど、プリミティブな知とか身体的なものへの礼賛が前面に押し出されたプロットは、どれも「収まりすぎ」の感がある。絵の表現が読者の理解ぎりぎりのラインまで行ってるのに、バランスが悪いのだ。エコロジー・メッセージを含んでいるのが悪いというのじゃない、その思想のままでももう一歩突き抜けたストーリーを展開することができたら、五十嵐大介は本当に貴重な漫画家になるんじゃないかと思う。

 つか羊の頭の丸焼きが美味そうだよ・・・脳みそが美味そうだよ・・・こういうものを美味そうに描けるというのはなかなかのもんだ、というか、美味そうと思ってしまうわたしの感性がやばいという気がしないでもない。 -27.Jun.06



 いや、なんつーか、その、ブクログレビューの使い回し。つかブクログにこんな長い文章書くなよ。見づらいっての。ちなみに上の画像は小学館の商品紹介ページからDLしたものです。よって著作権うんぬんはすべて小学館と五十嵐大介にあります。だってアマゾンに画像ないんだもの。ほんとはこういうの駄目なんでしょうが、レビューということで「学術目的」からギリギリはずれていないような気もするので(はずれてるかも・汗)無断使用。(2007年7月)






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