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本、漫画、映画のレビューおよび批評。たまにイギリス生活の雑多な記録。
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Posted by - 2024.05.15,Wed
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Posted by まめやもり - mameyamori - 2007.11.22,Thu




 今月のはじめに一週間、イタリアに行ってきました。
 純粋な観光です。
 つーかちょっと前のエントリで、「大陸ヨーロッパ行ってきます」とか書いた気するんですが、イタリアって厳密に言えば(言わなくても?)大陸ヨーロッパじゃないっすね。半島ヨーロッパです。ながぐつ半島。
 まあ、それはそれとして。

 じつはもう7・8年前になりますが、イタリアには一度行ったことがありました。したがって今回は二回目です。それでも、自分が少し成熟したのかなんでなのか知りませんが、前回とはかなり異なる印象でした。どちらがより楽しかったということではないのですが、やっぱり自分のおかれてる状態によって、見るものも食べるものも感じるものも、色々とちがうものだなあ。

 ということで、今回のエントリから数回にわたって、イタリア特集を書きたいと思います。



 今回の旅行の予定を立てるにあたって、まず訪れると決まっていた場所はポンペイだった。むしろポンペイが先にあって、イタリア来訪が決まったと言っても過言ではない。2000年前に火山の灰の下に沈み、その後1700年にわたって時間が完全に停止した、生ける死の都市ポンペイ……(おお浪漫) 前回のイタリア旅行、およそ初めての海外旅行のとき、スケジュールのつごうで訪問先からはずすも、ずっと心にわだかまりを残していた古代遺跡……(おお浪漫!)
 今回は日本に住む友人と二人の旅行だったのだが、あれ、なんか考えてみるとわたしの希望や都合がずいぶん優先されてるな。(いや、友人も面白そうと言ってはいたが……なんか海外旅行するといつもこんなんだ。→ベルリン参照)
 イタリアでもかなり南部にあるこの遺跡は、ローマから無理をすれば日帰りで行けないこともないが、時間の制約上バタバタせざるをえない。ゆっくりポンペイを見たいと思えば、近隣の都市ナポリに泊まるのが便利だ。

 「ナポリって食べ物のおいしいところだよね」
 「まあ、そういう話だね」
 「ナポリタンの由来だよね」
 「そうだね、ナポリタンは全然ナポリ風じゃないらしいけどね」
 「ほか何があったっけ。ピザか」
 「マルゲリータが名物だったかな」
 「だけどイタリアでも治安が悪いので有名っていうよね」
 「なんかそんなことを聞いたことがある気もするね」

 そんな会話を友人とあっけらかんと交わした気もするが、治安よりもあきらかに食い物のうまさを取ったわれわれは、あっさりとナポリの滞在を決めたのだった。ちなみに、わたしがイタリア旅行を追えて帰ってきた翌日、ハウスメイト(ウィーン出身)に会ったときの第一声は「ナポリ行ったんだっけ?ワーオ。よく攫われもせず無傷で帰ってきたね」であった。このハウスメイトはいつも真面目なのか冗談なのかまったく判断がつかない物言いをするので何とも言いがたいのだが、そのジョークとも本気ともつかない「危険地帯」表現に、ナポリの一般イメージが端的に表れているような気がする。

 さらに、一週間ならばもう一都市くらい行けるのではということで、ほかにどこに行くかを協議する。
 友人が世界遺産のアルベロベッロ(こんなん)やマテーラの洞窟住居サッシ(こんなん)はどうかと提案し、二人でネット上の写真を見て興奮するが、交通の便が悪そうな僻地を一週間でいろいろと行き来するのは困難かという話になり、残念ながら今回は見送り。
 さいわいというかなんというのか、われわれは二人とも共通して嗜好が地味で、オサレ都市ミラノ(偏見)にはまったく食指が動かなかった。加えて、「北イタリアではクリームやバターといった乳製品を、南イタリアではトマトやオリーブといった地中海風の食材を使う」という素人イタリアフード知識も、われわれの興味を北に向かわせなかった。けっきょく、すべて食で決まってる気がしないでもない。
 まあ、それはそれとして。

 わたしは前回のイタリア訪問でローマとフィレンツェを訪れていたのだが、そのときもった印象は、フィレンツェは「可愛いけれど一回でいい」街、ローマは「もう一度でも行きたい街」というものだった。ローマが幾百幾千のみどころに溢れているというのもあったが、どうやら絢爛豪華なルネッサンス芸術の精髄よりも、埃にまみれた古代遺跡の神秘のほうに魅力を感じるたちのようである。それを友人に告げ、「じゃあローマでもいいかもね」という話になる。(ふたたび私の希望でことが決まっている……)
 結局、日本への飛行機の発着を考えてもローマにはいずれ立ち寄らなければならないし、世界的観光都市だったら見るものにも事欠かないだろうということで、もう一つの滞在都市はローマにあいなった。


 というわけで、次回以降、「ポンペイ編」「ナポリ編」「ローマ編」「食べもの編」「旅の技術・宿と交通編」あたり、五回程度にわたって旅行記録を書いていこうと思います。基本的には、チープ路線でネット酷使の個人設計旅行。そういうイタリア旅行をしようと思っている人の参考になれば幸いです。



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Posted by まめやもり - mameyamori - 2007.08.01,Wed
 たまには旅行先の写真などを。



 アイルランドの首都・ダブリンから車で1〜2時間ほど行ったところに、トリム城という城がある。アイルランドにおけるノルマン様式の城の代表として観光名所となっているトリム城だが、ボイン河のほとりに建つこの城の周辺には、そのほかにも多くの印象的な遺跡が点在している。
 以下の写真は今年のもの。クリックで拡大。小雨がしとしとと降り続いている日だった。





 上の写真は河をはさんで城のむかいに建つ塔の遺跡。高さにして40mに達するというこの巨大な塔は、写真でもわかるように独特の崩れ方をしており、あたかも強大な力で天からまっぷたつに引き裂かれ、その片われのみが残されたかのごとくである。遠くから見ても、近づいて見上げてみても、ドラマチックというのか印象的な遺跡である。
 もともとこの塔は1368年に建造された僧院の鐘楼で、17世紀なかばにクロムウェルの軍隊によって破壊された後、この塔だけが残ったのだという。<黄色の尖塔Yellow Steeple>とは、夕暮れどきにこの塔が黄色に染まるところから取られた呼び名という。

 下は近くの城壁門のなかからはるかに見える上記の塔。







 トリム城からボイン河に沿って少し歩くと、やはり多くの僧院や聖堂の遺跡に出くわす。13世紀のはじめに建てられ、のち、戦火のなかに破壊された建物、および18世紀に建てられ、のちになって使う者もなく放置されたなど建物など様々である。
 どこでそれぞれの写真をとったのだかよく覚えていないのだが、下は完全に廃墟となった僧院跡にかろうじて残っていた壁面彫刻のひとつ。雨風にさらされ、いまとなっては目鼻立ちもわからないが、うっすらと盛り上がる羽の造型から天使の彫刻と見てとれる。おそらく18世紀のものだったと思う。15世紀に破壊された建物なら、さすがにここまではっきりと残らないはずだ。





 キリスト教的な彫刻や建物というものは、地蔵や仏像とは異なり、いったんそれが打ち捨てられ放擲されると、涜神だの悪魔的だのという逆方向の妖しげな神秘性を色濃く帯びてくるような気がしてしまう。だが、僧院の遺跡がこうして多く残され、その近くに現在なお普通に使われている墓所なんかがあるところを見ると、それはたんに私がキリスト教の意味体系というものを小説だの映画だの漫画だのオカルチックななにがしだのから変にゆがんだ極端な形で吸収したというだけの話のようだ。
 それを認識した上でも、こう、溶けかけた彫刻というのにいわく言いがたい神秘的な印象をもってしまうのは、否定しがたいところなのである。



 最後は廃墟の近くの川沿いでぼんやり草をはんでいたポニー。





 見ているとトコトコ近寄ってきた。まっくろで優しい目をしていた。たてがみに触ろうと手を差し出したら舐められた。


Posted by まめやもり - mameyamori - 2007.05.14,Mon
 一週間前にドイツ行ってきました。
 あいかわらずの準備の杜撰さとボケのために同行者にそれはそれは迷惑をかけたのだが、それでも楽しかったです。それはそれは楽しかったです。
 つーか私、ダンケシェン以外のドイツ語まったく喋りませんでした。告白すると一応、第二外国語はドイツ語です。ベルリンはかなり英語通じました。とくにお店の店員さんで若い人。ただし鉄道の駅員はそんなでもない。そうして、ライプツィヒでは基本的に全然通じませんでした。博物館のチケット売り場でも通じませんでした。ドイツ行くんならドイツ語勉強して行きましょう。深く深く自戒です。英語帝国主義に断固抵抗せよ!

 行ったところを列挙すると、ベルリン大聖堂、ペルガモン博物館、新ナショナルギャラリーNeue Nationalgalerie、チェックポイント・チャーリーなどなど。つかもっぱらわたしの趣味で博物館・美術館ばっかりだったような・・・いやはやごめんよ。

 ベルリン大聖堂は19世紀末に建ったもので、白基調の建物に水色のドーム型の屋根と、それだけ取り上げればイギリスでも似たような時期に立てられた建物はみんなそんな感じなんですが(カーディフ国立博物館ベルファストのシティ・ホールなど)、なんかベルリン大聖堂はイギリス圏の建築物とはやっぱり感じが違っていたなあ。ゴロンとしていて、装飾も多い印象がありました。
 中も立派でしたが、印象深かったのは上階にある大聖堂の模型の展示。100/1とか50/1とか色々種類があって、ものすっごい精巧だった。とくに内部の装飾の模型・・・。人類の偉業を感じた。

 あと楽しかったのはNeue Nationalgalerie。クレーがあるとTimeout Berlin(ガイドブック)に載ってたのでいそいそ見にいったんですが、ムンクの連作(あの月の長く伸びた影が水面に映っている、淡いクリーム色・水色基調のやつ)とか、マックス・エルンストとかあって「ああー!」って感じでした。わたしはシュールレアリズム絵画がそんなにぴんと来ない方ですが(上野のダリ展は色々おもしろかったけどね)、エルンストは例外的に、かなり好き。ほかのシュールレアリストは、たいてい頭で考えて「ふーん、へー、なるほど」という感じなのですが、エルンストはその色と質感と雰囲気が好きな作家です。あとムンクはまったく予想外だったので、嬉しい驚きだった。Timeout Berlinの紹介はピカソとクレーとカンディンスキーを書くくせにどうしてムンクに触れない?世界的に見ればムンクよりカンディンスキーのほうがビッグネームなのかしら・・・
 あと、第一次世界大戦関連の画家ってことでよくその名を目にしてたオットー・ディックスOtto Dixも、けっこう充実してました。本で紹介されているのを見ても、こう、これがシェル・ショックか・・・と思わせるような、歪んだしんどい絵画だなという印象はあったんですが、実際に見るとやっぱりしんどい絵だった(汗)。そのなかに、やけに明るくて突き抜けた感じのユートピアっぽい(でもぼんやりしていてどこか抽象的)な絵があるのがよけい怖かった。ちなみにシェル・ショックとは、第一次大戦後に塹壕戦のショックで帰還兵が罹った精神疾患、あるいは近代戦的大虐殺の後遺症でイギリスをはじめヨーロッパ各国に立ちこめたと言われる抑鬱状態のことです。
ちなみに下のはそこで見たオットー・ディックスのDie Skatspieler。




 ペルガモン博物館も良かったです。イシュタルの大門とか、ペルガモン神殿の正面全体を、実物みたいな配置で再現してるのがよかった。(イシュタルの大門は実物大じゃないらしいけどそれでも圧巻)バラバラの展示より臨場感がありますねこういうの。日本語のオーディオガイドが入場料に込みでした。ものすっごい丁寧な説明だったので、全部聞けなかった。(笑)

 宿については、キッチンつきのアパート(それでもツインで一人5000円程度)に泊まったためかなんでか、ほとんど外食せず。友人が持ってきてくれた豚の角煮とか、塩辛とか、友人と二人で作った大量の野菜炒めとか、友人が作ってくれた謎の親子丼(卵・鳥肉・ズッキーニ・バスマティ米)とか食べてました。バスマティ米つーのは長粒種のインド米です。ぱさぱさしてて香り高い。つーか列挙すると超・友人任せ。(ゴメン)
 外食したのは、二日目にライプツィヒに行ったときに入った
Auerbachs Keller
くらいのものです。(リンクは日本語で当該店を説明しているページ)ここ、食事はたいしたことなかったんですけど、外に立ってる銅像だとか、中のキッチュな人形だとか、グラスのコースターとか、紙ナプキンとか、いちいちファウスト&メフィストコンビの絵が描いてあってそれが可愛かったです。英語メニューもあって助かった。つかゴハンは量が多かった。




 つーかドイツ ビール安い




 ペットボトル売りがあるのにビビッたが、瓶入りも500mlが50〜60ユーロセントという激安ぐあい。(100円以下だよ)もちろん高いのもあった気がするが、このやっすいので十分美味い。ひたすらビール飲んでました。白ビールも安いのが色々種類あって、すごい嬉しかった。(白ビール好き)

 同じビール国なのになんでUK+アイルランドはこんなにビールが高いの?(そいでも日本よりゃ安いが)
ギネスブックなんか作ってないでドイツを見習ってくれよ。ギネス。頼むよ。

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