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本、漫画、映画のレビューおよび批評。たまにイギリス生活の雑多な記録。
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Posted by - 2024.05.16,Thu
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Posted by まめやもり - mameyamori - 2009.09.06,Sun




 タイトル長いな!!



 少女むけの漫画や文章に出てくる男は全般的に女くさい、という意見をよく聞く。これについて、本日は試論的な一考察をおこなう。ついでに男ジャンルにおいて、この対となる現象が存在するかどうかも検討し、比較対照をこころみよう。


 さて、上の意見についてはわたしも大いに同意するところである。女向けジャンルで描かれる男は、本気でみんな女くさい。まず、漫画にかんしていえば、絵柄からして男が女っぽくなる。作者が絵の勉強をきっちりしてるっぽい漫画は、人体の構造を骨格・筋肉レベルで把握しているのか、しっかりした体格の男を描く傾向があるけども、ふつうの「かわいい少女漫画絵」の男はとにかくガリガリで顔がツルツルしてて可愛らしく、マッチョマッチョなのはかなり少ない。衣装も名前も中性的なのが好かれている。BLだけでなく、通常のラブコメや恋愛大河とかもそうな気がする。
 さらに、少女漫画においては性格とか思考回路も女っぽくなるようだ。なんか男キャラが喧嘩っぱやかったり、すぐ人を殴ったり、カッとなりやすかったりと設定されているけれども、これはたとえば、「ちはや(仮名ヒロイン)が馬鹿にされるのに耐えきれなくて、思わず馬鹿にした男を殴っちゃった。でも暴力をふるうのはちはやのためだけだよ」とかそういう喧嘩っぱやさであって、たんに「主人公のことをとことん好きでいてほしい」という女の願望が投影されているだけの気がする。より広い社会において見られる「マスキュリニティ(男らしさ)とは何か」という言説とはかなりかけ離れたところにある気がするのだ。

 もちろん女向けジャンルの男が情緒不安定になる背景には、女のほうが感情の揺れ動きの描写に興味をもつ傾向にある、っていうのが影響しているとは思う。だけども、たんに感情描写がある・ないの話じゃなくて、とにかく男キャラのものの悩み方が女性的なんだ。
 断っておくけれども、わたしは女のほうが男より繊細でねちっこい、という意見に賛成しない。上に書いたように、たしかに女のほうが映画や漫画や小説に「感情描写」を求めるけれど、それはじっさいの個人としての男や女、わたしやあなたが「繊細である・ない」とは全然別の話である。結局のところ、男のなかにも女のなかにも、繊細な人ねちっこい人は同じ程度、いる。ただし男の繊細さ・男のねちっこさと、女のそれとでは、質が異なるのは事実だ。そのうえで、少女漫画に登場する男キャラは、悩みとか他人との関係性のとりかたとかが、いかにも女的に繊細で、いかにも女的にねちっこいのである。

 以上、「女向けジャンルにおける男は女化する」ということをひとまず確認した。外見描写、心理(性格)描写ともに、である。では、男向けジャンルの女キャラは男くさくなるか? というのが本日の疑問である。どうでしょう。
 まず絵柄を考えると、答えは「否」である。男向けで筋骨隆々の女を描く漫画というのは、ないわけではないらしいが、かなりのマニアである。
 そういうかなりのマニアさんたちを除けば、有名どころで自分が知っているのは、たとえばジョジョか。ジョリーンはともかく、エルメェスごつすぎだろう。あと80年代の劇画調な絵柄にはごつい体の女が登場するかも。シティハンターの女とか、かなり体格しっかりしてる。(まあ、あれは肩パッド全盛の服デザインのせいかもしれないけど。)しかし昨今は劇画調の少年漫画が減っており、男向け漫画の女は巨乳かロリに二極化しているので、男っぽい体つきの女キャラはかなりの少数派なんではないか。
 では次に、男の描く女の性格や思考回路が男っぽいか。これは微妙である。たぶん絵柄より微妙だ。というか男向けジャンルにおいて女はしばしば個人のパーソナリティではなく属性(お嬢様/メガネ/ヤンデレ/ツンデレ/ヤンキー/委員長/不思議系など)が重視されるので、性格や思考回路が読み取りにくい。属性とは「個」としての心理ではなく「種」としての行動様式を問題にするものである。したがって、女キャラを属性としてあつかうジャンルにおいて、一個人としての描写は重視されない。お決まりの様式をどれだけうまくなぞっているか、それだけが重要となる。

 だが、属性萌え的な確信犯作品を脇に置くとしても、やはり「男のように行動し思考する女」が出てくる作品は少数派である気がする。ざっと考えてみて、有名どころではやっぱりジョジョ第六部と、あと宮崎駿くらいだろうか。
 宮崎駿はキャラの類型性を強く持っていて、女性キャラではそれがヒロイン系の「思春期の少女」とサブキャラの「強く怖い成人女性」になるというのは有名な話だが、『ナウシカ』のクシャナ、『もののけ姫』のえぼし様、『ハウル』のマダム・サリマン(あるいは『未来少年コナン』の初期モンスリーから?)と連綿と続く「怖い女」の系統に属するキャラは、斉藤美奈子あたりがずいぶん前に指摘していたように、基本的に「男」である。彼らは外見的にはこの上なく女だが、思考回路や行動様式は完全に男のそれであり、ヒーローに対置されるところのヒロイン的な役どころ(男主人公を介抱してあげる・悲鳴をあげる・お色気サービスがある・人質にとられる 等)はほとんど与えられていない。
 けれども、この手の女キャラは宮崎駿以外にはほとんど見当たらない。一見「強い女」に見える女キャラであっても、ほとんどは上の「ヒロイン的役どころ」を与えられているのだ。あ、そう言えば昔『アフタヌーン』でやってた『勇午』って漫画の女ジャーナリストがコッチ系だったけど、思い出せる例外といえばそのくらいだなあ。なお、美少女ゲーとかの男向けジャンルに出てくる「男まさり」設定のキャラのほとんどは、暴力的であるか、鈍感なだけで、まったく男的ではない。あれは女キャラの萌え属性の一つである。
 注意しておかなくてはならないのは、「強い女」と「男のように行動し思考する女」はイコールでない、ということだ。『キューティーハニー』のハニーは強くてカッコよいが、同時に女らしい弱々しさ・脆弱さとセクシーアピールをこの上なく備えており、たとえばヒロイン的に誘拐されちゃったりエロ責めされちゃったり風呂をのぞかれちゃったりする。これは通常の男向けジャンルのヒロインよりは自主性や行動力をそなえているとはいえ、やはり「ヒロインらしさ」の記号をはっきりと付与されたキャラである。(ちなみにナウシカはあんだけでかい乳をしていながら、映画においても漫画においても、体を触られたり発情されたりする等、肉体としての女の性を感じさせるエピソードが一度もない。)
 
 すなわち、女向けジャンルは男を女化するが、男向けジャンルは概して女を男化しないのである。ただしこれは、男性向け作品が女のリアリティを正しく認識しているということにはならない。
 女ジャンルは見知った価値観を男に投影し、女のように悩み苦しむ男に萌える。だが、男ジャンルは自分とは完全な「他者」として女キャラを描く。他者であるために、その内面性や感性はわからないし、わからないから描かれない。ただ外見と属性的な行動様式が描かれるだけである。
 結論すれば、欲望の対象を描き出すさいに、全般的に女には同化の傾向が、男には異化の傾向が働く、ということになろうか。

 ……うっそくせえ……
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Posted by まめやもり - mameyamori - 2009.08.21,Fri
すばしっこい二人の大人が鬼ごっこをしているだけの動画ですが、なんか可愛い。
すでに知っている人も多いかも。
たぶんロケーションがいいんだと思う。






編集が入ってるっぽくて、本当のリアル鬼ごっこじゃないと思いますが、なんか可愛いね。




Posted by まめやもり - mameyamori - 2009.08.10,Mon
うわあ!


投稿論文の審査結果かえってきた。「9月に出ます」と言い放って論文を募集していた学術誌で、もう8月なのに査読結果がかえってこないということは、ふつーにリジェクトかあー、きびしいなー、もしかしたら通るかと思ってたのになーくそ! とかいろいろ待ちくたびれていた連絡です。まあ、最近増えてきているオンライン学術誌の一冊なので、最終編集が終わればあっとういうまにアップロードして「Published」な状態にできるんだろうけど。だから「出版」のぎりぎり近くまで査読や修正に時間をかけるんだろうな。



心臓ばくばく状態で見た結果は……、









条件つきアクセプト でした。


リジェクトでなくて本当に、本当に、本当に、本当に良かったけれど、「これこれこれこれを直したらアクセプトとします」の「これこれこれこれ」の部分がめっちゃ長いし、なんというかかなり大きな直し。これ本当に一ヶ月で直せるの?

たぶん、普通の号だったらいっぺんリジェクトになっているくらいの査読なんだろうなあ、と思いました。現段階でも、まだ正式なアクセプトではなくて、「最終的には再提出したバージョンを見てから決める」とあるし。
私が投稿したのはいわゆる「特集号」で、特定テーマとの結びつきが強い論文であるはずだから、一回アクセプトを見送って次の号に回すよりも、多少むりをしてでも直させて、今回の特集号に入れちゃいたいのかなあと思いました。
そういえば「直せ」と言われた内容も、乱暴に言えばその特定テーマとの関連をキッパリクッキリ明らかにせよ、ということとも言える。査読の修正コメントなんて普段なら「あったまきた! 誰もそんなこと言ってねえだろ! しかもアレが書いてないコレが書いてないって言うけど、きちんとここにこうやって書いたじゃないか!」という状態で数日見返したくもないのですが、今回にかぎっては、修正指示されてやむなしというものでした。

いや、そうやって頭にくるような査読でも、客観的に見ればまっとうな意見を言われていることのほうが多いんだけどね。


博士論文の修正(書いてませんでしたがしばらく前に修正つきで口頭試問を通過しました)を今月中に終わらせてしまいたかったので、かなり迷っているのですが、この投稿論文から始めた方がよさそうだという結論に達しました。というか時間いっぱいかけても載るかわからないのに、さすがに後には回せない……ウヘエ


それにしても、今回人生で初めての英語論文を投稿してみることとなったが、現在までのプロセスを見るかぎり、少なくともイギリスでは日本での投稿・査読と大きなプロセスの違いはないなーという感じ。もちろん同じような分野で、ということなので、理科系では事情は違うのかもしれないが。でもまあ、理科系の方が日本の研究者でも英語論文を書く機会が多いだろうから、国際誌でも国内誌でも違わなさそうだな。

今回の場合、査読者は二人、アノニマス(匿名)で、誰が審査したのかはわからないようになっている。査読結果が帰ってくるのは、雑誌の編集委員会で正式に投稿が認められてから、一ヶ月から二ヶ月。
査読者のコメントの長さも、一人は3〜4パラグラフの簡潔なもの、一人はおそらくA4で2頁にわたる詳細なもので、その差も私が日本で査読を受けたときとほぼおんなじ感じだった(笑) 条件つきアクセプトで修正に与えられる期間が1ヶ月というのも、まあ似たようなものじゃないかな?
ちなみに今回はオンライン誌なので、投稿も、査読結果が帰ってくるのも、すべてメールでのやりとりとなっています。


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