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本、漫画、映画のレビューおよび批評。たまにイギリス生活の雑多な記録。
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Posted by まめやもり - mameyamori - 2007.05.23,Wed



 Goodbye Bafana(2007)を見てきました。もう一週間以上も前ですが・・・。
 それというのも、近所の映画館では週に一回学生割引で2.5ポンドの日があるからです。ポンド高のこのご時世、なにもかもが高いUKだが、映画だけはやっぱりひたすら安い。日本の割引価格の約半額だもんな・・・

 1994年、27年の投獄生活の後、初の民主選挙で南アフリカ共和国大統領に選ばれた黒人解放運動指導者、ネルソン・マンデラ。そのマンデラと一人の白人看守のあいだに長い時間をかけて育まれていく関係を、アパルトヘイトをめぐって激変する社会状況を背景に描いていく歴史ドラマ。当該の白人看守ジェームズ・グレゴリー本人が記した回想録Goodbye Bafana: Nelson Mandela, My prisoner, My friend(1995)が原作のようです。監督は『ペレ』のビレ・アウグスト。




 以下、いつもながらに若干のネタバレあります。念のため。




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Posted by まめやもり - mameyamori - 2007.05.14,Mon
 一週間前にドイツ行ってきました。
 あいかわらずの準備の杜撰さとボケのために同行者にそれはそれは迷惑をかけたのだが、それでも楽しかったです。それはそれは楽しかったです。
 つーか私、ダンケシェン以外のドイツ語まったく喋りませんでした。告白すると一応、第二外国語はドイツ語です。ベルリンはかなり英語通じました。とくにお店の店員さんで若い人。ただし鉄道の駅員はそんなでもない。そうして、ライプツィヒでは基本的に全然通じませんでした。博物館のチケット売り場でも通じませんでした。ドイツ行くんならドイツ語勉強して行きましょう。深く深く自戒です。英語帝国主義に断固抵抗せよ!

 行ったところを列挙すると、ベルリン大聖堂、ペルガモン博物館、新ナショナルギャラリーNeue Nationalgalerie、チェックポイント・チャーリーなどなど。つかもっぱらわたしの趣味で博物館・美術館ばっかりだったような・・・いやはやごめんよ。

 ベルリン大聖堂は19世紀末に建ったもので、白基調の建物に水色のドーム型の屋根と、それだけ取り上げればイギリスでも似たような時期に立てられた建物はみんなそんな感じなんですが(カーディフ国立博物館ベルファストのシティ・ホールなど)、なんかベルリン大聖堂はイギリス圏の建築物とはやっぱり感じが違っていたなあ。ゴロンとしていて、装飾も多い印象がありました。
 中も立派でしたが、印象深かったのは上階にある大聖堂の模型の展示。100/1とか50/1とか色々種類があって、ものすっごい精巧だった。とくに内部の装飾の模型・・・。人類の偉業を感じた。

 あと楽しかったのはNeue Nationalgalerie。クレーがあるとTimeout Berlin(ガイドブック)に載ってたのでいそいそ見にいったんですが、ムンクの連作(あの月の長く伸びた影が水面に映っている、淡いクリーム色・水色基調のやつ)とか、マックス・エルンストとかあって「ああー!」って感じでした。わたしはシュールレアリズム絵画がそんなにぴんと来ない方ですが(上野のダリ展は色々おもしろかったけどね)、エルンストは例外的に、かなり好き。ほかのシュールレアリストは、たいてい頭で考えて「ふーん、へー、なるほど」という感じなのですが、エルンストはその色と質感と雰囲気が好きな作家です。あとムンクはまったく予想外だったので、嬉しい驚きだった。Timeout Berlinの紹介はピカソとクレーとカンディンスキーを書くくせにどうしてムンクに触れない?世界的に見ればムンクよりカンディンスキーのほうがビッグネームなのかしら・・・
 あと、第一次世界大戦関連の画家ってことでよくその名を目にしてたオットー・ディックスOtto Dixも、けっこう充実してました。本で紹介されているのを見ても、こう、これがシェル・ショックか・・・と思わせるような、歪んだしんどい絵画だなという印象はあったんですが、実際に見るとやっぱりしんどい絵だった(汗)。そのなかに、やけに明るくて突き抜けた感じのユートピアっぽい(でもぼんやりしていてどこか抽象的)な絵があるのがよけい怖かった。ちなみにシェル・ショックとは、第一次大戦後に塹壕戦のショックで帰還兵が罹った精神疾患、あるいは近代戦的大虐殺の後遺症でイギリスをはじめヨーロッパ各国に立ちこめたと言われる抑鬱状態のことです。
ちなみに下のはそこで見たオットー・ディックスのDie Skatspieler。




 ペルガモン博物館も良かったです。イシュタルの大門とか、ペルガモン神殿の正面全体を、実物みたいな配置で再現してるのがよかった。(イシュタルの大門は実物大じゃないらしいけどそれでも圧巻)バラバラの展示より臨場感がありますねこういうの。日本語のオーディオガイドが入場料に込みでした。ものすっごい丁寧な説明だったので、全部聞けなかった。(笑)

 宿については、キッチンつきのアパート(それでもツインで一人5000円程度)に泊まったためかなんでか、ほとんど外食せず。友人が持ってきてくれた豚の角煮とか、塩辛とか、友人と二人で作った大量の野菜炒めとか、友人が作ってくれた謎の親子丼(卵・鳥肉・ズッキーニ・バスマティ米)とか食べてました。バスマティ米つーのは長粒種のインド米です。ぱさぱさしてて香り高い。つーか列挙すると超・友人任せ。(ゴメン)
 外食したのは、二日目にライプツィヒに行ったときに入った
Auerbachs Keller
くらいのものです。(リンクは日本語で当該店を説明しているページ)ここ、食事はたいしたことなかったんですけど、外に立ってる銅像だとか、中のキッチュな人形だとか、グラスのコースターとか、紙ナプキンとか、いちいちファウスト&メフィストコンビの絵が描いてあってそれが可愛かったです。英語メニューもあって助かった。つかゴハンは量が多かった。




 つーかドイツ ビール安い




 ペットボトル売りがあるのにビビッたが、瓶入りも500mlが50〜60ユーロセントという激安ぐあい。(100円以下だよ)もちろん高いのもあった気がするが、このやっすいので十分美味い。ひたすらビール飲んでました。白ビールも安いのが色々種類あって、すごい嬉しかった。(白ビール好き)

 同じビール国なのになんでUK+アイルランドはこんなにビールが高いの?(そいでも日本よりゃ安いが)
ギネスブックなんか作ってないでドイツを見習ってくれよ。ギネス。頼むよ。

Posted by まめやもり - mameyamori - 2007.05.01,Tue



 いまさらになるが、『善き人のためのソナタ』を見た翌日に、アンドレ・ウッドAndrés Wood監督の『マチューカMachuca』(2006)を見た。
チリ出身の知人がクローズドの上映会に誘ってくださったのである。


 映画の舞台は1973年の激動のチリ。社会主義的な政策と空気のなかで教育の平等化がすすむなか、あるお坊ちゃん系英語学校に貧しい階層の子ども達(民族的には先住民?)が転入してくる。「ぼっちゃん(王子様かも)」と渾名される、ちょっと気弱で金持ちの子のゴンザレスは、そのうちの一人ペドロ・マチューカとしだいに仲良くなっていくが、折しもピノチェト率いる軍事クーデターがチリ全土を襲い、二人の関係は・・・

というお話でした。


 こちらも大変よい映画だった。日本で公開されていないようなのが残念である。
 ゴンザレスが淡いあこがれか恋心みたいなものを抱く貧民街出身の女の子が出てくるのだが、彼女が印象深く描かれていた。またいっぽうで、「金持ちのおぼっちゃん主人公と、勝ち気でエキゾチックで、ちょっと(性的な意味でも)奔放で、主人公をいじめたりからかいながらも彼と仲良く遊ぶ貧しい女の子」という、十代前半の二人というのは、じつはけしてメジャーではないながらも、ひそかによく映画に登場する題材であるような気もして、それはそれで分析の対象としても興味深い。容赦のない社会格差に巻き込まれる「以前」の子どもたちの、恋なんだかじゃれてんだかわからないような触れ合いを、懐古的にある意味理想化して描いたアレである。みなさんもいくつかこういう二人が登場する映画をご覧になったことはあるまいか。

 ほのかに甘酸っぱく、ノスタルジアを感じさせ、同時に彼らの関係がのちのち規定されずにはいられない背後の社会経済格差を思わせ胸苦しいという部分が、いわゆる社会派でかつ映画としての物語性や表現に妥協したくない監督たちをひきつける要素なのかなと思う。あるいは、監督たち自身の幼少時への思い入れみたいなものが含まれているのかもしれない。

 わたしもそういう二人を描いた映画というのは好きである。性的なふれあいというものが、恋愛やセックスといった紋切り型の関係に押し込められる「以前」はずっと豊潤で、定められていなくて、自由な感覚に彩られたものであるのかもしれないと感じさせるからだ。他方で、そこで描かれるような少女達の表象——すなわち、無垢さと性的奔放さと、芯の強さと蠱惑性という、相反するはずの両要素をいまだ未分化なものとして一身にもった少女達の造型——が、エキゾチズムと性の誘惑と、民族性と帝国主義と、さまざまなものを考える上で興味深くもあるのだ。ここで「あァァ例の帝国主義と他者表象の話でサイード云々で」と合点した気になってはならない。重要なのは、上にも書いたが、この『マチュカ』であるとかトニー・ガトリフ監督『僕のスウィング』でもそうだったように、彼女たちは概して、主人公の少年よりもずっと強靱な「主体性」——ここでは、芯の強さ、行動性、誇り高さ、あえて彼女らが選び取るちょっと下品な言動、などとして表現される——をたずさえている、ということだ。それでも、少なくとも思春期前半のふたりを描いた映画では、ヨーロッパ系中産階級の少年と、貧しいが誇り高くそれでいて蠱惑的でもある少女、という男女の関係がめったに逆にならないところが面白いのである。

 (ちなみに登場する二人がより成熟すると、この男女の設定はしばしば逆にもなる気がする。『チャタレイ夫人』なんかはそこにおける階級と性の隠喩関係が露骨だが、もう少し複雑なものになると、ラース・フォン・トリアー監督三部作の第二作目、『マンダレイManderlay』(2005)なんかもそうだった。本ブログでレビューを書いた『Vers Le Sud / Heading South』もそうである——あれはその倒転こそをピンポイントで狙ったであろう映画だが)

 いまのところどういう切り口で考えたらいいのかはわからないけれども、いずれ、そこに何があるのかもう少し掴めたら良いなと思う。


 ちゃんとしたレビュー書きたいけどおっつかないかな。書かなくてはならないもの(勝手に書くと決めたもの)が山積みになっている。







 
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