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本、漫画、映画のレビューおよび批評。たまにイギリス生活の雑多な記録。
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Posted by - 2025.02.09,Sun
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Posted by まめやもり - mameyamori - 2008.11.17,Mon
 気づいたのは誰だったのだろう。仕事へ学校へと向かうニューヨークの人々の早朝の寝ぼけ頭が、一瞬のうちに覚醒する。1974年8月。当時世界最高を誇っていた世界貿易センターのツインタワーのふもと。誰かが110階のビルディングのてっぺんを指差し、その双子のビルの間に渡された細い細い綱の上をゆっくり歩いている人間がいると指摘したのだ。
 たちまちのうちにツインタワーの下には黒山の人だかりができる。地面からは砂粒のようにしか見えないその人影は、ただ綱を一度渡りきっただけでは満足しない。彼は空中に渡された綱に足をひっかけてぶら下がり、あるいは綱の上にごろりと横たわってポーズをとってみせるなどして(!)、およそ1時間ものあいだ、高度400mの空中にて信じがたいパフォーマンスを繰り広げた。人々は唖然としてその様子を見つめるばかりだった。
 居合わせた警官は言った――「誰もが呪文にかかったように彼を見上げていました。世界が二度と見ることのないものを自分がいま目撃していると、みな知っていたのです」





 夏に見に行ったドキュメンタリー映画『マン・オン・ワイヤー』。けっこう面白かったですよー。ようやくレビューを書きましたのでUP。




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Posted by まめやもり - mameyamori - 2008.11.09,Sun
 自分の英語作文力のおそまつさに絶望した! 絶望した!

 いまさらって感じですが、そんなわけで絶望をおぼえたので、最近論文複写を英作文トレーニングとして始めました。自分の領域に近そうな、かつ文章が読みやすくていいなーと思う論文を、ひたすら複写するのです。論文一本丸々やろうと思うと死ぬまで終わらないので、一日30分と時間を決めて、とりあえず毎日続けるということで、先週開始しました。んまあ開始して四日目くらいですでにやり忘れたけど。駄目じゃん! よりによって三日で忘れなくても! 三日坊主がベタすぎるだろ!

 英語でものを書くときの自然なリズムみたいなものが、少しずつでも身に付いたらいいなーと思ってやり始めたトレーニングです。
 毎日毎日ひたすら英語を読んでると、「あ、この文章は第一言語が英語じゃない人が書いてるな」ってのがなんとなくわかるようになります。で、そういう「外国語として書かれた英語論文」には二種類あります。ひとつは、内容が難しくても文法構造が基本に忠実でわかりやすいため、ネイティブの人の文よりむしろ読みやすい文章。そして、英語としてのリズムや構成が不自然なので、読むさいに息がつけず、異様に読みづらい文章です。ちなみに後者は、査読を経た人文社会系の学術論文くらいのレベルになるとさすがに少ないですが、たまに採点する学部生のレポートくらいだとけっこうあります。そして、わたしもしょっちゅう後者のような文章を書いて指導教官に「なんだこれ読みづらいなー」って思われてる嫌な自信が激烈にある。あとで見返すと、自分ですら一読して意味がわからなかったりするもん。
 だから自然なリズムというのが自分の英文でも必要だなーと思うにいたったのですね……、

 余談ですが、たまに外国語として書かれた英語文章について「高校生レベルの英単語と文法しか使ってない」と言って(自分の文であれ他人の文であれ)卑下する発言を聞くことがあります。けれども、じっさいのとこ英作文の上達のレベルとしては、経験と想像から語ってみるに

 1. 日本語で考えて英語に翻訳しようとする  ←わたしは留学前ココ
   ↓
 2. 英語で考えはじめたが、使える単語と構文が少なすぎて何も書けない ←留学当初ココ
   ↓
 3. 難しいことを言おうとして意味不明な文を書く ←わたしは今ココ
   ↓        
 4. シンプルな単語を適切な文脈で用いた自然な文が書ける
   ↓
 (超えがたいハードル)
   ↓ 
 5. 英語の美文が書ける

となる気がします。つまり、高校生レベルの英単語しか使ってないのは、それで言いたい事が的確に言えているかぎり(ここ重要)、けっして悪い事じゃないんだよ…… 難しい単語を使ってても英語として不自然な文章の方が、「下手な書き手」の印象を与えるように思います。

 そんでもって、さすがに博士論文として提出する文章は最低「4」レベルじゃなきゃいけないので、できるだけ自然なリズムと言い回しを身につけるべく、トレーニングを始めたわけです。


プロセスとしては以下のような感じ

- まっさらなテキストファイルを立ち上げる 自分はマックなのでTextedit
- 論文から複写によさそうな段落をピックアップ。固有名詞や数字がたくさん入っているような、あまりに特殊具体的すぎる文章はパス。
- ワンセンテンスをじっくりと注意深く、一度か二度、読む。
- 原テキストを見ないで、頭に浮かべた内容から、もとの文章を再現するべくタイプする。
- 自分が再現した文章と、原テキストの文章を差異を確認する。文法的、言い回し的にまちがっていない差異は無視する。
- もう一度、原テキストを見ないで書いてみる。
- これを、文法や言い回しのまちがいがなくなり、ほぼ同じ構文で原文が再現されるまで繰り返す。
- 次のセンテンスに進む。


 ちなみに自分で編み出した英作文トレーニング法なので、どんだけ効力があるかはしらない。ただ、日本でも小説家志望の人が文章のくせを直したり表現法を広げるためのトレーニングとしてプロ小説の複写をやるって聞いたことがあったので、それを参考にした感じです。

 このトレーニングをやってて気づくのは、リズムの問題もあるんですが、それ以上に単数複数の再現と冠詞と定冠詞、すなわちaやanやtheのあるなしが、ほんと再現できていないということです。日本語は単数複数を区別しない言語なので、その中で生まれ育ってしまったわたしたちは、文章の内容を記憶しよう把握しようとするときに、単数複数や定冠詞のあるなしをそもそも概念化できないのですね。リンゴとかエンピツならわかりやすいですが、難しいのは抽象的な単語です。たった10秒前に読んだ文章なのに、たとえばpolarisationという単語にtheがついていたかどうか、あるいは複数だったかどうかが思い出せないんです。
 以前に日本から来た学生を指導したことのある教官に聞くと、これはわたしだけではなく、日本から来た留学生に共通してみられる傾向だそうです。むう、第一言語の力ってのはすごいですなあ。思考回路や記憶回路のいちばんディープなレベルに影響している気がする。
 あと、このトレーニングで気がつくようになったのは、前置詞とか慣用句です。この意味だとofなのかonなのかとか、あーこの動詞だと後ろにtoつけないとぜんぜん違う意味になるんだなあとか、もうほんと基礎レベルのことなんですが。意外と身に付いてない。

めんどくさいですが、とりあえずがんばって続けてみますよ! 二ヶ月続けたらちょっとは効果が出てくるやもしれません。

Posted by まめやもり - mameyamori - 2008.11.07,Fri
最近毎日のように通っているウェブサイトです。



 19世紀末から20世紀前半にかけてのヨーロッパの「挿絵画の黄金期」に活躍した画家の作品を数多く集めているサイト。ワイルドの『サロメ』の挿絵で知られるオーブリー・ビアズリーや、ダンテ『神曲』やミルトン『失楽園』の挿絵を描いたギュスターヴ・ドレをはじめ、カイ・ニールセン、アーサー・ラッカム、エドムンド・デュラックといったギフトブックの挿絵画家たちの作品を、高画質でたくさん見ることができます。

 (ギフトブックとはその名の通り「贈り物の本」で、literary annualとも呼ばれ、イギリスでは秋からクリスマスのシーズンにかけてよく売り出されます。欧米のほかの国でもあるのかな? 手のこんだきれいな挿絵だとか、高画質の写真などがたくさん収められた「読む」というよりは「眺める」ための本。子供向けではなく一般向けのものも多いです)



 カイ・ニールセン、「太陽の東・月の西」より

 


 カイ・ニールセン、「12人の踊る姫君とその他の物語」より




 この黄金期の背景には、1880年代にヨーロッパで印刷技術のさらなる革新があって、イラストを高画質で大量に複製することが可能になったという技術史事情があるようです。それによって、精密な挿絵のついた本がたくさん出版されたんですね。

 考えてみればこの時期は、19世紀なかばからブームになった大陸ヨーロッパの象徴主義だとか(ギュスターヴ・モロー)、イギリスでのラファエロ前派(ウィリアム・モリスやエドワード・バーン・ジョーンズら)の影響で、近世以前の中世的・神話的なものへの関心が高まっているころですね。文学でもW.B.イェイツなんかの象徴主義がさかんですし、さらなる高まりを見せるナショナリズムとの絡みで、民話の発掘も各国でひきつづきさかんに行われているころです。それと上の技術史事情とがからまりあって、いろんな童話やおとぎ話が、オリエンタリズムやアールヌーヴォーの影響を色濃く受けた精巧な絵とともに、ヨーロッパで多くの人に紹介されていった、という感じなのかな。


 ちなみにギュスターヴ・モローはこんな感じの絵を描く人です。
 バーン・ジョーンズはこんな

 


 カイ・ニールセン、「太陽の東・月の西」より


 上のカイ・ニールセンはデンマーク生まれで、イギリスで活躍した挿絵画家らしいです。ビアズリーの影響を強く受けているんだとか。なんだか日本風になったり、インド風になったりと、傾向がいろんなところにいってる人みたいですが、とりあえず東洋趣味が強そうだなあという気がしますね。ちなみにビアズリーも日本の春画の影響を強く受けているんだそうです。
 下のアーサー・ラッカムは、もう少しヴィクトリアンでロマンチックな絵を描くようです。それでも色調の暗さと水彩画らしいおぼろげな感じが独特の渋さと味わいを出しているような気がします。




アーサー・ラッカム、「妖精の踊り」


 ちょっとファンタジックというか乙女チックで小恥ずかしいけど、綺麗は綺麗ですなー。

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怠け者のちいさなやもりですが色々ぶつぶつ言うのは好きなようです。
時折超つたない英語を喋りますが修行中なのでどうかお許しください。

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